購読している朝日小学生新聞で、子ども達と気になったテーマを深堀りしています。
2024/10/16 朝日小学生新聞1面「日本被団協がノーベル平和賞を受賞」
概要:
2024年のノーベル平和賞が、原爆被害を受けた生存者でつくる組織「日本元水爆被害者団体協議会(日本被団協)」に決まりました。
受賞理由は「核兵器が二度と使われてはならないことを証言を通じて示してきた」こと。
深堀り①ノーベル平和賞を受賞するということは、どういうこと?
ノーベル平和賞とは
個人や団体が世界の平和に大きく貢献したことが、国際的に認められたことを示すものの一つで、特に平和の促進や戦争の防止、人権の保障、国際的な協力の推進に貢献した人や団体に与えられます。
ノーベル平和賞を受賞すると、以下の3つが変わる!
- 平和への貢献の国際的評価
受賞者はこれまでの取り組みが世界中で評価され、国際社会から賞賛を受ける。
- 平和活動の推進力
ノーベル平和賞の受賞者は、今後の活動がさらに注目を集め、受賞者の掲げる理念や活動がより多くの人に知られることになる。つまり、さらに指示や協力を得やすくなる。
- 将来への期待と責任
受賞者には、これまでの取り組みだけでなく、今後もその平和を促進し続ける役割が期待される。そのため、ノーベル平和賞を受賞したことにより、今後も平和のための活動を継続するという重要な責任を担うことになる。
つまり、ノーベル平和賞は受賞したことはゴールではなく、今後さらなる活動の拡大を求められているということですね。
深堀り②日本は核兵器禁止条約に参加していない。なぜ?
日本被団協は、これまで被爆体験を伝える活動や核兵器をなくす署名集めなどを行い、国際会議にも積極的に参加し、世界に訴えてきました。
その活動の一つの成果が、「核兵器禁止条約」です。しかし日本政府としては、日本は世界で唯一の被爆国でありながら、この条約に参加していません。それはなぜでしょう。
核兵器禁止条約とは
2017年に122か国・地域の賛成で採択され、核兵器の保有や使用、配備を完全に禁止する条約。
非核保有国の多くがこの条約に署名し、核兵器のない世界を目指す姿勢を強調しています。
しかし、核兵器保有国や、一部の核抑止力に依存する国々は、この条約に参加していません。
核兵器保有国…米国、ロシア、フランス、英国、中国、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮
日本が核兵器禁止条約に参加していない、その理由は主に次の2点です。
- アメリカの核抑止力への依存
日本は、アメリカの「核の傘」に依存して国防を確保しています。核兵器禁止条約に参加すると、アメリカとの安全保障面での関係が影響を受ける懸念があります。
特に、北朝鮮の核・ミサイル開発や、中国の軍事力増強を大きな脅威として捉えているため、アメリカの核抑止力の維持は重要だと考えられています。
そのため、安全保障の観点から、賛同が難しくなっています。
・核軍縮の段階的なアプローチの必要性
日本政府は、核兵器禁止条約について、核保有国との協議が十分でないと考えています。
核兵器のない世界を目指すためには、段階的に核軍縮を進める必要があり、核保有国も参加する枠組みでの軍縮が必要だというのがその主な趣旨です。
核兵器禁止条約に参加することで、アメリカを始めとする核保有国との条約や国際的な軍事協力に悪影響を及ぼす可能性を懸念しています。
しかし、日本はただ参加していないという訳ではなく、非核保有国として核兵器の廃絶を目指す立場を明確にしています。
例えば、「非核三原則」の堅持、国際会議やフォーラムでの主導的役割、国連での核兵器廃絶決議の例年提出、国内外での平和教育などがその例です。
つまり、日本は現時点ではアメリカに頼った国防を始めとした外交への影響を踏まえて、核兵器禁止条約に参加していないということ。
しかし、核軍縮への取り組みは積極的に行っており、その両立できる立場を模索しているということ。
日本被団協は日本が核兵器禁止条約に参加することを期待していますが、そのためには、解決すべき大きな課題があるのですね。
今回、日本被団協がノーベル平和賞を受賞したことによって、改めて日本政府として、今後どのような姿勢を取っていくのか、世界から注目されることになります。
改めて唯一の被爆国としての日本の国際的な役割、また組織と政府との立場の違いを考えさせられたニュースでした。